日本の進学塾の歴史は古い
進学塾というと受験勉強をして高校や大学などに進学するための塾とイメージされるのが普通です。現代社会では進学塾は受験対策塾とも呼ばれることがあるほどに受験に向けた勉強を重視しています。小学校受験から始まり、最終的には大学に入学するための支援をしていますが、日本の歴史を見ると実は最近に始まったものではないことがわかります。現代のいわゆる教育制度になぞらえて進学塾が生まれてきたわけではありません。試験に合格するために必要な勉強をする機会を与え、進学させるための指導をする塾という意味では歴史は平安時代に遡ります。日本では小学校や大学などが存在しなかった1000年以上昔の時代から進学塾の原型は存在していたのです。
平安時代の進学塾とは
平安時代には平民は農業や商業をして暮らしているのが一般的でした。識字率も低くてそもそも文字を使わない文化が広まっていました。進学塾の原型が生まれていたのは平安時代の花舞台である貴族社会の方です。貴族社会では優秀さを披露して高い地位を手に入れるための競争が繰り広げられていました。その優秀さを測る指標として用いられていたのが和歌の能力です。誰もが感銘を受ける趣のある和歌を謳える人は高い評価を受け、歌人として有名になれるだけでなく、朝廷でも高い位を授かることができました。下位の貴族でも和歌で成功すれば大きな出世ができる状況があったため、和歌を教える進学塾の原型が生まれたのです。有名な歌人や身分の高い貴族が指導者となって教えていたと言われています。