江戸時代の教育機関私塾とは
江戸時代の教育機関として浮かぶのは、藩校、寺子屋、私塾ではないでしょうか。藩校は武士のための教育機関として設立された学校で、寺子屋は庶民のための教育機関です。どちらも、6~7歳頃に通い始め、4~5年で卒業するというのが一般的でした。一方、私塾は現代で言うところの大学レベルの教育を行う機関です。民間の教育機関であり、儒学、心学、国学、蘭学など様々な専門分野の教育が行われていました。 有名な学者や医者が教師となり専門的な教育を行うことが多く、その私塾の創始者の意向により開学し、また閉鎖されることがほとんどでした。しかし、中には同志社大学や慶応義塾大学のように、現代まで続く教育機関として発展したものもあります。私塾は、現代の大学の基礎を築いたと言えます。
江戸時代の有名な私塾
江戸時代の有名な私塾の一つと言えば、吉田松陰によって設立された松下村塾です。吉田松陰は、幕末に思想家、教育者として活躍した人物で、尊王攘夷を軸として、儒学、兵学、史学など幅広い講義を行いました。松下村塾からは、久坂玄瑞、高杉晋作、木戸孝允など、幕末から明治にかけて活躍した人物を多く輩出しています。
また、江戸時代末期に活躍した蘭学者の緒方洪庵は、適塾という蘭学塾を開きました。緒方洪庵は、蘭方医として有名な医師で、幕末に流行したコレラの予防に尽力し、蘭学者の第一人者と言われています。鎖国体制を敷いていた日本にとって、オランダを通じて入ってくるヨーロッパの学問や技術は非常に貴重な知識でした。その適塾からは、福沢諭吉や橋本佐内などの政治家や学者が多く輩出されています。